格闘ゲームのプロゲーマーとして有名な梅原大吾(ウメハラ)氏。
おそらく格闘ゲームをやらない方でも知っている人は多いでしょう。
彼の著書に『世勝ち続ける意志力』という本があります。
この本は自伝と共にプロゲーマーとして勝ち続けるための考え方を紹介した本ですが、麻雀にも通じる部分が多くあります(ちなみにウメハラ氏は一時期プロ雀士を目指して麻雀をやりこんでいます)。
この本で1つキーワードになっているのは「勝つ」ことと「勝ち続ける」ことは違う、ということです。
ウメハラ氏は格闘ゲームの世界では明らかに「勝ち続ける」側のプレイヤーです。
今回はこの本を参考にしながら麻雀においてもいかにして勝ち続けるプレイヤーになれるかを考えていきます。
目次
勝つことに執着しない
結論から言えば、勝つことに執着している人間は、勝ち続けることができないということなのだが、(中略)
プロローグ
一般的に勝つことに執着することは上達においては重要だとも思えます。
負けず嫌いで負けた悔しさをバネに努力し続けて強くなった、というのはトッププレイヤーに多いパターンでもあります。
しかし勝つことだけに執着してしまうと、短期的な利益のためのプレイ(格闘ゲームでいうハメ手、弱点を突く、裏技等)に頼ったり、自分の実力を上げる機会を蔑ろにしがちになります。
麻雀は勝とうと思って勝てるものではありません。常勝は誰にもありえません。しかし目の前の一戦の勝利を追い求めすぎて長期的な視点が抜けてバランスを崩したプレイをしてしまうことは多いです。
では何に執着すれば良いのかというと「自分の成長」です。
意識すべきは勝ったか負けたかよりも自分が成長したかどうかです。勝ったか負けたかはそのときの一喜一憂ですが、自分が成長したかどうかはそうではありません。
逆説的ですが、勝つことに重きを置くのではなく、自分の成長に重きを置き続けた先で、あるとき気づいたら他の人よりも強く勝ち続けられるプレイヤーになっているのだと思います。
変化を楽しむ
成長というのは「良い変化」です。
例えば初心者が優れた戦術本を読んで打ち筋を変えたならおそらくそれは「良い変化」です。以前よりも強くなっていることでしょう。
そしてその変化を実感することが大切です。
例えば、
「以前よりも丁寧にオリれるようになった」
という成長の実感を持つことです。
麻雀は偏りの多いゲームなので、もしかするとたまたま簡単にオリやすい場面が多くてそう感じているだけなのかもしれません。
しかし実感ベースで「自分は前より上手くなっている」という感覚を持つことは上達し続けるには非常に大切です。
しかし、ある程度麻雀が上達すると、打ち筋が確立していきそこから変化しなくなってしまうことがあります。
上達の上で一番まずいのは変化しないことです。変化がないのであれば上達はありえません。
これについてウメハラ氏は
自分を変えるとき、変化するためのコツは、「そうすることで良くなるかどうかまで考えない」ということだ。もし悪くなったとしたら、それに気づいたときにまた変えればいい。
第二章 99.9%の人は勝ち続けられない
とあります。
ただ麻雀では「その変化が良いのか悪いのか」がはっきり分かるのが難しいということには注意します。
例えば今までと押し引きを少し変えて押し寄りにしよう、としても結局それによりどの程度成績が良くなったのか悪くなったのかは分かりにくいです。
しかしそれでも変化させなければ上達はありえません。
例えば上級者から押しすぎではないかと指摘を受けたりと変化の良さを判定する方法もあります。
変化→フィードバック→修正(新たな変化)のサイクルを早く多くこなすことで何も変わらないプレイヤーよりも強くなれます。
勝負師より求道者
麻雀は対人ゲームです。勝つことや、誰かよりも強いことに執着しがちになります。
しかし恐らく勝ち続けているトッププレイヤーは「相手に勝ちたい」、「特定の誰々よりも強くなりたい」のような外的な要素よりも、「麻雀というゲームをより理解したい」、「自分の成長の楽しさ」のような内的な要素を重視している人が多いように思います。
麻雀の議論や牌譜検討などが大好きなタイプです。
麻雀は勝負事とも言えますが、イメージ的には勝負師気質というよりも求道者気質のプレイヤーの方が、結果的に勝ち続けられるのではないかと思っています。