このブログでは主に麻雀の初心者・中級者向けに上達の方法論や戦術書の紹介などを扱っていました。今回は少しだけ趣向を変えてコラム的な記事にしてみようと思います。
オンライン麻雀の普及やそれに伴うデータ解析、良質な戦術書の出版などここ数年で麻雀を上達するための環境は良い方向へ大きく変わってきていると感じています。
その中で、麻雀の戦術の議論や発展は、概念や戦術についてのわかりやすい言葉、キャッチコピー的なもの、スラング的なものが存在することが重要なのではないかと考えました。
例えば「量産型デジタル」という言葉はデジタルの隆盛に伴い生まれた言葉です。戦術書などでセオリーが画一化してきたことにより、逆に戦術書の知識を鵜呑みにして思考しないプレイヤーが多く生まれ、そんな彼らを揶揄した言葉です。ある意味でデジタルに対してのアンチテーゼ的な言葉とも言えます。
あるいは麻雀ライター福地誠氏が著書の中で提示した「カンチャン即リー打法」や天鳳の強者ZERO氏が著書で提示した「トイトイダッシュ」などは特定の戦術を明確に表した言葉です。トイトイとチートイの分岐点についての議論はそれまでもありましたが、その議論は「トイトイダッシュ」をした方が良いか?という一言で済みます。
まだ誰も明確な答えを知らない状況の中で議論を効率的に進めるためには、複雑な概念や戦術の一連の動きなどをうまく一言でまとめる言葉があるとお互いの共通認識として扱いやすく円滑な議論になりやすいです。
そこで今回は筆者が勝手に考えた麻雀用語・スラングを挙げていきます。これらの用語が使われることで議論がしやすくなる・・・のが理想ですが、まあそういうことよくあるよね、というように気楽に楽しんでいただけると嬉しいです。
目次
満貫疾走
鳴いて満貫が確定している手なので鳴ける牌は全て鳴き最速でアガリに向かうこと。
(役牌)の盾を構えて進む
↑のような手で役牌以外のターツ(や)を鳴いていって手を進めること。白の盾を構えて進む状態。もし相手からリーチがきた場合役牌を落とせるので守備力が維持される。打点・形的にそこまで自信が無い手で守備のためにも役牌対子を維持したまま手を進めていく動き。
盾で殴りにいく
↑のような手で役牌を鳴いて手を進めること。白の盾で殴りにいく。バックから役牌を確定することで完全にアガリの為に前に出ていくことで守備力は下がる。意外と鳴きの上手さが問われやすい。
馬登り
着順が2着以上上がるアガリ。上昇するイメージの言葉である滝登りと順位馬の馬の組み合わせ。良形確定満貫は基本的にリーチを打つが馬登りになるならダマにするなど。
マシリー
リーチをしても大きな局収支は得られなさそう(むしろマイナス)だがテンパイ外しやダマなどの他の選択よりはリーチがマシだろうというレベルのリーチ。
ガメリー
出アガリは全く期待できないがツモって高打点を狙うリーチ。ドラ数牌の単騎待ちなど。
ワザモギリー
あえてツモ切りリーチをすること。
ダウンリーチ
リーチ棒を出すことで自分の着順が落ちるリーチ。普通のリーチより打ちにくくなる。
信号無視
2軒以上のリーチに対して無筋を切ること。
拝み抜き
リーチに対して安牌が無いが、だからといって開き直って手を進めるわけではなくその中でも少しでも安全そうな牌を切ってオリること。大体端牌や対子以上の牌を切ることになる。
4ハンの壁
満貫と3ハンの打点の差を表す言葉。4ハンの壁は大きい。
バラモス(リーチ)
一見危険に見えるリーチでも放銃しても着順変動が起きにくく点数状況的に実はあまり怖くないリーチや相手。バラモスリーチを見抜ける人はしっかりと点数状況を把握できている。名前はドラゴンクエスト3のボスより拝借。
ゾーマ
バラモスとは違い点数状況から考えて真に放銃してはいけない相手。リーチしているとは限らない。バラモスをケアしてゾーマに放銃してはいけない。同じくドラゴンクエスト3のボスより拝借。
完全余剰牌
↑ののように安全度も低く手の構築にも全く必要ない牌。字牌などの方が安全な分まだまし。完全余剰牌は存在させないように打つ。
メタ切り
相手がある程度自分の捨て牌を読んでくるという前提のもと、その読みを外すために一見効率の良くない切り順で手牌進行すること。フリールールよりも競技麻雀などで起こりやすい。
ビリヤード
ポン
↑のような手牌から
上家:
というリーチを受け、をチーしを切ることで
ポンチー
としリーチ者の現物に待ちを変えること。
一点読みバイアス
相手の鳴きや捨て牌を読み、それ以外の可能性もあるのに待ちを一点に絞れたと錯誤すること。食い伸ばしの鳴き読みなどで起こりやすい。
クラスター強者(弱者)
長期的な成績ではなく、ある大会で優勝したとか、数十回の対戦で非常に悪い成績だったといような短期スパンの結果や印象で強者認定、弱者認定されること。狭いコミュニティや成績を記録していない状況で起こりやすい。
場況負け
場況からの情報を必要以上に過大評価し、相手がダマテンだと思い込んだりドラを切れなくなったりして自分の手を曲げてしまうこと。それまで自分の手だけを見ていた初心者が場を見るようになると陥りやすい。
雰囲気負け
フリー雀荘などリアル麻雀においてラス確アガリやモロヒリーチなどが同卓者からよく思われないのではないか、嫌われるのではないかと思ってしまいできないこと。
Y字打法
成功したときと失敗したときの二通りがはっきりするような打ち方。
例えば打点であれば100%で3900点になる手作りでなく、20%で8000点になるかもしれないが80%で1000点になるような打ち方。
手作りの場合、例えば以下のような手で
を切って素直に手を進めるわけでもなく、を切ってシャンテン数を下げ良形を求めるのでもなく、を切りを引くことに賭けるような打ち方。くっつきを待つ時間がないかつテンパイ時の安全を確保する狙い。ダメだったらオリる。
押し引きであれば例えば以下のような手で
上家:
このようなリーチを受けたときのチーテンを取らずに面前でテンパイした場合は追っかけ、テンパイせず危険牌を引いた場合にはやでオリるような打ち方。
ということでいかかだったでしょうか。自分で言葉を考えようとすると「量産型デジタル」や「トイトイダッシュ」のネーミングの凄さを感じます。皆さんもぜひ考えてみてください。似たような戦術や動きを考えること自体戦術の理解になると思います。また、上記の中でもし他の方が既に提唱していたり、違う言い方が既にある言葉があれば指摘していただけると助かります。