現代麻雀には打点よりもスピードを求めるという風潮があります。赤ドラやリーチ、一発・裏など簡単に打点を向上できる手段があるので、手役などで無理に打点を上げることはせず、さっさと先制リーチを打つことを主眼に置いて手を進めるのが良いとされます。
ですが一方で、打点を無視しスピードに偏りすぎの戦い方も良くないというのも事実です。最低限打点についてどのようなことを考えればいいのかを今回は考えてみます。
麻雀戦術書でおなじみの福地誠氏は著書の中で『極論をいってしまうなら、麻雀とは「マンガンをアガろうという人vsマンガンが作れないので安く流してしまおうという人」の構図が繰り返されるゲームです』(「福地誠著 現代麻雀 押し引きの教科書」より引用)と書いています。
この言葉のように、いかに満貫をアガるかという「満貫効率」と共に打点について考えてみます。
目次
打点コスパ最高な満貫
麻雀というゲームは役の大きさや数(ハン数)で得られる点数が変わります。子の30符を例にすると、1ハン→1000点、2ハン→2000点、3ハン→3900点、4ハン→7700点(切り上げで8000点、満貫)となります。ここまでをみると、1ハンupするごとに点数が2倍になっているということが分かります。
ただし、それよりもハン数が増えると話が変わってきます。5ハン→8000点、6ハン→12000点、7ハン→12000点、8ハン→16000点、、、というように、1ハンupしても打点は倍どころか、4ハン→5ハンは変わらないですし、5ハン→6ハンでやっと1.5倍です(跳満)。同様に6ハン→7ハンでは変わらず、7ハン→8ハンで1.5倍(倍満)です。つまり、1ハンの価値が大きいのは4ハン(満貫)までということになります。
さらに4ハンまでの中でも、3ハン→4ハンの打点上昇は約4000点です。1ハン→2ハンが1000点up、2ハン→3ハンが2000点upなので、3ハン→4ハンの4000点upが一番コスパの良い打点上昇となります。また、そこから4ハン→5ハンでは上昇しないため、4ハンが一番コスパの良い打点となります。
よって、可能であれば満貫を狙っていくのが一番打点効率の良い手作りとなります。いかに満貫を効率良くアガっていくかが強者になるために求められる打点意識となります。
面前での打点効率
では満貫効率という点から面前での打点について考えていきます。面前であればリーチという素晴らしい役が使えます。リーチはリーチの1ハンに加え、一発、裏などが複合することにより打点が上がりやすいです。よって、リーチドラ1やリーチタンヤオ赤のように、リーチ時点で2〜3ハンの手がツモや一発、裏などで丁度満貫に届きやすく、一番リーチでの満貫への打点上昇効率が高い手となります。
リーチによる打点の上がり幅という意味だけで言えば、リーチして4ハンの手よりも、リーチして2ハン、3ハンの手の方が期待できる上がり幅は大きく、リーチの打点上昇の恩恵を受けやすいと言えます(勿論4ハンの方が高い手ではあります)。
逆にリーチのみの手であれば、一発や裏があっても満貫には届きにくく、満貫効率の良い手とは言えません。勿論テンパイしてしまったらリーチをかけても良いですが、リーチの他に1ハンは付けられるような手組みを意識できると、より満貫が狙えやすく、打点力のあるプレイヤーになれるでしょう。
逆に、面前において手役などで無理に4ハンも5ハンも狙うのは効率的ではありません。過度な打点狙いはスピードを犠牲にしてしまうので、大物手が必要な状況でない限りはリーチ+1、2ハンくらいの手で早く先制を取ることを意識しましょう。
鳴いた手の打点効率
面前にはリーチという満貫効率の良い役がありますが、鳴いた手にはそれがありません。よって一発や裏には期待できず、テンパイ時点で打点が確定しているような場面が多いです。打点を予測しやすい分、この手は何ハンになるのかということをしっかり意識することが重要です。つまり、この手はかわし手(2000点以下)の手なのか、本手(3900点以上)なのかを意識するということです。
かわし手であれば、1ハン上がったときの打点上昇効率は高くないので、打点の上昇を考えずにいかに早くアガるかのみ考えます。スピードのみ考えればよいということです。
逆に本手であればすでに4ハンあるのなら打点については考えなくていいですが、3ハンのときはかなり打点上昇を意識しなければなりません。3ハン→4ハンの打点上昇は一番効率の良いものだからです。例えば子で
ポン ドラ
この手は現状3ハン(3900点)です。3ハン→4ハンの打点上昇は大きいので、すでにテンパイですが、うまく4ハンにできないか考えてみましょう。
ここでまず考えられるのはポン→切りで満貫を作ることです。テンパイだからと油断せずはしっかりポンできるようにしましょう。
また忘れがちなのがを大明カンするということです。を引いての加カンやを引いての暗カンはする方が多いと思いますが、場に出たをしっかり大明カンできる方は少ないです。大明カンによりカンドラが一枚でも乗る、あるいはリンシャンでツモることができれば満貫ですし、そうでなくともテンパネにより3900点→5200点の打点上昇は保証されます。テンパイからの大明カンは忘れがちな方が多いのでしっかり反応できるように意識しましょう。
しかし仮に上の手でがドラでなく、現状で1000点の手であればカンしない方がいいです。1000点から打点を上げる価値は小さく、であればカンドラを他家に乗せてしまうリスクに見合わないからです。また同様に、
ポン ドラ
のように、すでに4ハンの手であれば、これもポンもカンも不要です。現状の満貫からの打点上昇はほぼ期待できず、 他家を警戒させたり他家にカンドラを乗せてしまうというリスクに見合わないからです。
このように鳴いたときの3ハンの手はあと1ハンどうにか付けられないかを常に意識しましょう。逆に鳴いて1000点や2000点の手であれば余計なことはせず、目立たずサクッとアガって局を流すことに注力しましょう。満貫を狙える手は頑張って狙う、そうではない手はさっさとアガるということを意識すると打点効率の良い打ち手になることができるでしょう。