何切る問題というのをご存知でしょうか。
何切る問題とはその名の通り、手牌が示されここから何を切るか?というクイズ形式の問題です。
明確に答えのある何切る問題として作られたものもたくさんありますし、出題者が実戦で遭遇した牌姿をそのまま用いて何を切るかの議論に使うこともあります。
この何切る問題ですが、どうせ実戦で同じ牌姿に遭遇することはない、実際の打牌は場況によって大きく変わるのだから意味がない、というように否定的な意見も見られます。
しかし、個人的に何切る問題は上達の為にとても役立つものだと思うので、今回は何切る問題の意義や使い方について書いていきます。
目次
対局以外の上達法の王道
麻雀の上達法というと、主に対局する、その対局の反省をする、戦術本を読むなどが考えられますが、対局に関しては面子や環境が必要になります。
しかし何切る問題を解くために必要なものはその何切る問題くらいです。
対局できる状況にいなくても麻雀の上達に関する勉強ができるのは効率よく上達するにあたり重要なことです。
特に、牌効率の上達のための練習としては何切るは対局自体よりもやりやすい練習です。
対局や牌譜検討は総練習のようなもので、何切る問題は牌効率に特化した部分練習になります。
牌効率は対局中常に考えることですので、麻雀の上達のベースになります。そこを重点的に強化するのはとても大切です。
パターンと例外の蓄積
何切る問題の良いところは牌姿のパターンを蓄積できることです。
有名な牌姿として例えば両面部分が連続形かどうかがキモになる
何切るA
と
何切るB
のような問題など
この問題だとこっちを切るけど、部分的に牌姿が変われば、こっちを切る。あるいは東1局ならこれをきるけど、アガリトップならこっちを切る、のように一部分が変わるだけで答えが変わる問題は特に大切です。その一部分が重要だということがわかりやすいので、そこを抑えれば他の場面でも使える知識になりやすいです。
ちなみに、この問題はAの問題だと打、Bの問題だと
が正解になります。
Aは両面×2を生かすためにとしますが、Bは両面の部分が
と連続形になっているので、
を切ってヘッドレスの形にしても(亜)両面テンパイになりやすく、受け入れも多くなります。
この問題で重要なのは、両面含みの連続形は普通の両面よりもヘッドを作りやすいということです。ここを押さえれば、他の場面でも両面含みの連続形がある場合により有効な選択をしやすくなります。このように、色々な牌姿に出会い、特徴やパターンを覚えることで、少しずつ形に強くなっていきます。
枚数を数える癖をつける
また、何切る問題を解くに当たって重要なのは受け入れ枚数を数えることです。牌効率に慣れると、形を見ただけである程度受け入れの多さが分かるようになりますが、最初は受け入れ枚数をしっかり数えた方がいいです。
実際に数えてみましょう。
何切るA
打
全てのテンパイ受け入れ 8種28枚
このうち両面テンパイになる受け入れ 4種12枚
打
全ての受け入れ 4種16枚(すべてが両面テンパイになる受け入れ)
このように、単純な受け入れ枚数自体は打の方が多いと分かります。ただ、両面テンパイになる受け入れに関しては、打
の方が優秀です。この手牌は両面テンパイにならないケースでは全て数牌の単騎待ちになります。数牌の単騎待ちではリーチをかけにくく、新たに字牌単騎や亜両面、ノベタンになるのを待つ必要があります。
そのような愚形のテンパイチャンスが多いくらいなら、初めから両面テンパイになる受け入れが一番多くなるようにした方がいいという理屈で打が優位です。
このように具体的に数えて考えると、両面になりにくいだけで、単純なテンパイ枚数自体は打が多いことに気付きます。
これをもう少し発展して考えるとヘッドレスの両面×2という状態はヘッドのある両面×2よりも受け入れ枚数が多いということに気付きます。そうすると今度は下の問題が解けるはずです。
何切るC
Aで打がダメな理由は両面になりにくいからです。しかしこのCの問題だと、打
にしても
引きで打
とすれば両面テンパイになります。
Aの打の問題点はすべて解消されているわけですから、勿論Cの正解は打
となります。
このように、何切る問題をしっかり受け入れ枚数まで数えてじっくり考えると、より深く牌効率を理解できます。
大変だし面倒だと思うかもしれませんが、牌効率の打牌の優劣は、受け入れ枚数の多さでそのまま決まるケースも多いので、しっかりと枚数を数えられる癖をつけておくと良いです。
実戦で枚数を数える暇はありません。実戦で枚数を数える必要のないように、何切る問題で数えておいて、優劣を形として覚えるのです。
正解を求める
何切る問題については賛否両論あり、特に何切るに正解はないと考える人も多いです。
勿論場況設定の無い問題は相手の河やルールによるので何とも言えないです。
しかし、受け入れ枚数や打点の比較など自分の手牌だけで完結できる情報を用いて打牌の優劣を比較することはとても重要ですし、自分の手牌だけで言えばこれが正解だろうという打牌を求めるのは重要なことです。
打牌というのは最大で14択です。現実的に何切るで迷うのは多くても4~5択しょう。
その4~5の選択肢の中には、実際にそれが計算できるかは別としても、他の打牌よりも優位な打牌があるはずです。
勿論速度を重視するケースと打点を重視するケースで違うなどというのもありますが、その場合もそもそも速度を重視した方が良いのか、打牌を重視した方が良いのかということからよく考えましょう。
正解がわからないということはありますが、それはイコール正解が存在しないということではないですし、正解を追い求めなくても良いというわけでもありません。
ピンポイントで正解を見つけ出せなくても、以前よりも少しでも正しい選択に近づけるだけで、それは上達なのです。