「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」レビュー

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6月15日に新たな戦術書が発売されました。天鳳十段の鉄強プレイヤー「ゆうせー」氏の著書「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」です。

ゆうせー氏は初代・十一代天鳳位であるASAPIN氏のお兄さんです。また現役の学習塾講師でもあり、今回の本も講義式で書かれています。6年間行なっている配布検討配信も優しく分かりやすいと評判です。

今回はそんなゆうせー氏の戦術本の感想を書いていきます。

目次

講義方式の戦術書

麻雀講義というタイトル通り、本の構成として生徒(実際にゆうせー氏が行なっている牌譜検討配信の視聴者)からの質問を、講師であるゆうせー氏が講義形式で解説していくという流れとなっています。

手組の章、押し引きの章、読みの章の3つの章に分け、全22講義で構成されています。

よく受験の参考書などに「〇〇講師の英語講義の実況中継」というような本がありますが、その麻雀版という感じです。

文章は多いですが、講師と生徒の対話部分もあり、随所に牌図も存在するので読みやすいです。

ちなみに以前紹介したZero氏の「ゼロ秒思考の麻雀」や西園寺靖子氏の「ブラコン女子大生の最短で強くなる麻雀」のように天鳳強者の著書は対話形式のものが多いですね。

戦術の内容としては中級者向けというイメージです。手組の章では5ブロックと6ブロックの使い分けというような基本的な部分の解説もありますが、効果的な先切りについてやリードしている南場での打ち方など、初歩から一歩抜け出した部分でのよくある疑問、というような部分にフォーカスが当てられています。

わかりやすさの追求

著者が現役の学習塾講師ということで、内容は比較的高度ですが「わかりやすさ」を追求しています。

特に良いなと感じたのが押し引きの章で追っかけリーチの基準をフローチャート式に表している点です。

リーチの基準というような網羅性の高いことの解説は文章だと冗長になりわかりにくくなりやすいです。それをフローチャートで表すことで網羅性を維持したままでわかりやすくなります。

また講義形式ということで、講義の途中で「Point」としてポイントを整理してまとめ、講義の最後には「これだけは覚える」と最重要項目をまとめ、その後練習問題に入るという一連の流れになっています。

さらに本の中盤と最後には抜き打ちテストという形でそれまでの講義から穴埋め問題が出題されます。

このように読み手がしっかり理解できるように工夫が随所に見られます。過去の記事で戦術書のわかりやすさについて書きましたが、まさにこの本もわかりやすさを重視した作りになっています。

読みをロジカルに解説

手組・押し引きときて、最後の章では読みについて解説しています。

相手の河から手の速度を推測する速度読み、相手の手牌構成に特定のブロックが存在するかを推測するブロック読み、ポンテン時とチーテン時の捨て牌からどんなことが推測できるかという鳴き読み、相手の急所を鳴かせないためにはどうすればいいかという絞り、字牌の在りかを推測する字牌読み、とかなり高度な技術について解説されています。

そもそも読み自体が高度な技術ではありますが、「なぜそのような読みになるのか」という点をわかりやすく解説しているので、理解しやすいです。

また、読みについて書かれた本は比較的少ないので、新たな知見が多いと思います。ただ、注意しないといけないのは、読みは理解よりも実践の方がはるかに難しいということです。

全体の感想としては難しめの内容をわかりやすく解説している中級者向けの本という印象です。

生徒の質問に講師が答えるという形式ですが、そもそも生徒が天鳳十段経験者だったりしますので内容は読み応えがあります。生徒になったつもりでしっかり読み込んでみることをおすすめします。

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