おすすめ麻雀戦術書38冊をまとめてみた

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(※2020年5月更新)

ここ数年良質な麻雀戦術書の出版が盛んになってきたように思います。麻雀プロは勿論ですが、オンライン麻雀の強者や統計や麻雀研究者といった様々な書き手による盛り上がりを見せています。多くのすばらしい戦術書があふれ、初心者にとっては非常に上達しやすい環境になってきたように思います。

しかし、戦術書が多くなると今度はどの戦術書を読めばいいのか?という悩みが多くなります。自分のレベルに合った本を読むことや自分の苦手な技術を重点的に学ぶことは効率の良い上達のためには重要なことです。

そこで今回は筆者が読んだ戦術書からオススメの戦術書をまとめてみました。本の特徴から、牌効率、鳴き、ケーススタディなどカテゴリ分けし、軽いレビューやどんな人におすすめかを書いていきます(すでに一つの記事にしている本もあります)。戦術本を選ぶ際の一つの参考にしてみてください。

目次

概論

いきなり分かりにくいカテゴリですが、以下の一冊だけはこの概論という分類にしました。概論とは「全体の概要を述べる」というような意味合いです。さすがにこの本だけで麻雀の全てを述べる、というのは言いすぎではありますが、少なくとも麻雀を上達したいという方にとっては「麻雀とはこんなゲームだ」という概要を理解できるかと思いピックアップしました。単純に麻雀(上達)界を大きく変えるきっかけになった本なのではないかというリスペクトも込めています。

新版おしえて!科学する麻雀

とつげき東北氏の著作。「科学する麻雀」という言葉は聞いたことがある人も多いでしょう。近年の麻雀戦術本界での一番の名著と言えるのではないでしょうか。

2004年、かつてメインストリームだったツキや流れといったオカルト麻雀を徹底的に否定し、確率やデータという数学的視点から麻雀を読み解いたデジタルの草分け的戦術書である「科学する麻雀」。

そして新書であり文字やグラフ、式やコードまで書かれ堅いイメージだったこの本を麻雀ライター福地誠氏が編集しより実践的で分かりやすくリメイクした「おしえて!科学する麻雀」。

更にその「おしえて!科学する麻雀」に読みについての章や経済評論家の勝間和代さんと福地誠さんと著者との鼎談などを加えた改訂版が本書「新版おしえて!科学する麻雀」です。

「科学する麻雀」はデジタル的戦術書の草分けという意味で聖典的に賞賛されることが多いですが、現行の戦術書の中で考えてもとても素晴らしい内容の本です。戦術が徹底して数学的に考えられていますし、それを裏付けるデータも記載されています。また、麻雀の強さの要因を統計的に考え、どの技術・指標が成績に寄与されやすいのかを考えるなど、それぞれの技術だけではなく、どの技術を伸ばせば良いのかといった上達法自体も説明しています。まさに強くなりたい人が読む本と言えます。

筆者は可能であれば初心者が初めて読む戦術書はこの本が良いだろうと思っています。内容の充実さはもちろんですが、何よりもこの本からは「麻雀が強くなりたいならデジタル的に考えるべきだ」という筆者からの強い意志を感じます。

例えば本書には「押し引きの判別式」という難解な式が出てきます。普通の人であればほぼ読み飛ばすような難解な式で、初心者がこれを見ても理解できず「なんか難しそうだな」と思って終わるだけのようなものです。それはそれで良いのです。完璧に理解しろとは言いません。ただ、麻雀を本気で紐解くとこのような数学的な世界なのだ、という感想を持って欲しいです。

麻雀が上達するということは、流れやツキを支配することではなく、数学的・確率論的に考えを突き詰めることなのだ、というイメージを掴むことができれば何よりです。そういう意味で麻雀上達のバイブルとも言える本でしょう。

網羅本

麻雀の技術には、牌効率、押し引き、鳴き、etc..と異なる技術が存在します。これらの技術一つあるいは複数にフォーカスした戦術書が多いですが、そうではなくこれらほぼすべてを総括してまとめられた本を以下に紹介します。

勝つための現代麻雀技術論

ネマタ氏の著作。麻雀ライター福地誠氏が編集。これも非常に有名な戦術本です。「科学する麻雀」が麻雀の教科書であれば現代麻雀技術論は麻雀の辞書といえるでしょう。

この本の特長はなんといっても情報量の多さです。牌効率、押し引き、鳴き、状況判断について「こういう時はこうする」という知識がたくさん書かれています。その網羅性の高さは現在の麻雀戦術本の中でもダントツと言えるでしょう。例えば牌効率について、1シャンテンの技術、2シャンテンの技術、3シャンテン以上の選択と場合分けされ、1シャンテンの技術の中でも、2メンツ形の選択、ヘッドレス形の選択、くっつき形の選択、七対子形の選択と細かく分類され、その中でも多数の牌姿を用いきめ細かく優劣を解説しています。

また押し引きについても自分が子or親、相手が子or親、テンパイ形が良形か愚形か、何ハンの手か、序盤なのか中盤なのか、と詳細に場合分けし判断を解説しています。大変な情報量なので最初からしっかり読もうとしないで下さいと本の中で注意喚起されているくらいです。

辞書を初めから読まないように、自分の気になる点についてちょっとずつ読んでみると良いでしょう。また編集の福地誠氏が本の中で使える章ランキングや使えない章ランキングを作っているので、それを参考にしてみても良いでしょう。牌効率や押し引きで悩んだ時に、まず参照してみる為に手元にあると心強い一冊です。

牌効率

主に牌効率・牌理について解説した本です。

麻雀技術の教科書 効率的なアガリ方

井出洋介プロと小林剛プロの共著です。初心者向けの牌効率の解説本という感じです。全6章からなり、1〜4章で手組みの考え方、5章でリーチ、6章で鳴きについて解説しています。いわゆる何切る問題自体は少なく(各章の終わりに確認問題として出題)主に文章で牌効率の考え方を説明し、具体例として牌姿を用いる構図となっています。イメージ的には「勝つための現代麻雀技術論」の手作りの部分をよりライトに初心者向けにした感じでしょうか。解説が丁寧で、「牌効率」って何?というレベルの方でも問題なく読み進めることができる初心者向けの本と言えるでしょう。教科書というタイトル通り、初心者が一読すべきベーシックな牌効率本と言えるでしょう。

特にこんな人におすすめ・・・初心者、牌効率を覚えたい人

これだけで勝てる!麻雀の基本形80

麻雀ライター福地誠氏の戦術書です。コンビニ本で比較的安い戦術書です。見た目の安っぽさとは裏腹に初心者向けの牌効率本として素晴らしい本です。福地先生の他の多くの本と同様、語り口が自然で初心者にも分かりやすい文章になっています。73の例題(多くは何切る、わずかに捨て牌読みやチンイツトレーニングなど有)を用いて牌効率の基本を勉強できる本です。特に5ブロック打法について重点的に分かりやすく書いてあります。他にも少し複雑な形や下位ターツの判断など初心者は必ず押さえておきたいレベルの牌効率が書いてあります。また、第5章は麻雀の上達という意味で示唆を与える章になっています。

特にこんな人におすすめ・・・初心者、牌効率を覚えたい人

麻雀傑作「何切る」300選・麻雀定石「何切る」301選

G・ウザク氏著。福地誠氏編集の2冊。かなり類似した2冊なのでまとめて紹介します。通称ウザク本1(傑作300選、青い方)とウザク本2(定石301選、赤い方)。ひたすら何切るが詰め込まれた何切る問題集のような本です。この二つを仕上げるだけで牌効率についてはかなりの力が付くと思います。ただ初心者には少し難しくとっつきにくいという声もあるので、上記の「麻雀の基本形80」を読んでからの方が良いかもしれません。「麻雀の基本形80」を読んで難しいと感じるのであれば読みこなせない可能性が高いです。

英語の単語帳のように、何回も繰り返し周回して間違えたところをチェックし、理解を深めていくという読み方がおすすめです。牌効率については基本的な考え方や枚数の違いを麻雀技術の教科書と現代麻雀技術論で学び、麻雀の基本形80とこの本でひたすら何切るトレーニングを繰り返し勉強すれば十分すぎるほどの力が付くと思います。ちなみに発売順とは逆で定石301選(赤)の方が若干実用的かつ易しめではあるのでどちらかというと赤い方から読むと良いと思います。

特にこんな人におすすめ・・・牌効率を極めたい人、何切るが好きな人。

超実践麻雀「何切る」「何鳴く」ドリル

超実践麻雀「何切る」「何鳴く」ドリル

押し引き

特に押し引きについてのみ解説した本です。少なめ。押し引きの教科書は価格がかなり上がってますが、非常に良本なので読める機会があるなら必読。

現代麻雀押し引きの教科書

まさに押し引きの教科書。過去に記事として載せたのでどうぞ→初心者は「押し引きの教科書」で押し引きの基準を確立しよう

トッププロが教える最強の麻雀押し引き理論

戦術書「トッププロが教える最強の麻雀押し引き理論」と押し引きの考え方

鳴き

主に鳴きについて解説した本です。

麻雀麒麟児の一打 鉄鳴き

堀内正人プロの著作で鳴きに重点を置いた本です。鳴きに関する全26のケースについて堀内プロとインタビュアーの会話形式で戦術を紹介していく形になっています。全26ケースとケースは少ないですが、それぞれのケースについてしっかり本質を考察されており、一般化しやすい鳴きのセオリーを具体例を用いて解説されています。

現代麻雀において、鳴きの技術は成績の向上に不可欠である一方、初心者にとって習得の難しい技術です。おそらく、この本の中でこれを鳴くか?と問題になっているケースでも、なぜこれを鳴くのか意味が分からないというレベルのものもあると思います。そのくらい鳴きは初心者にとっては習得しにくい技術です。ただ、そもそも鳴く発想がないという人にとっては間違いなく示唆を与える本になっていると思いますし、鳴く理由を聞くと最終的に納得できることが多いと思います。スピード感覚を養うためにも、特に初心者、中級者におすすめの鳴き本です。

特にこんな人におすすめ・・・初心者、中級者、鳴きが苦手な人

麻雀勝ち組の鳴きテクニック

元麻雀プロである川村晃裕氏の本。全5章立て、全35テーマで牌姿を用いて鳴くかどうかを考えていく形式になっています。鳴くかどうかだけではなく、この牌姿から鳴くべき牌は何か?鳴いたあとに何を切るべきか?あるいは逆に絞りに着目し、下家に対して何を切って絞るか、アシストするか、というように鳴きに関わる思考全体を磨いていく本になっています。上記の「麻雀麒麟児の一打 鉄鳴き」が鳴きの基礎だとするとこの本は応用というイメージです。まえがきにもありますが、完全に中級者以上向けの鳴きの本になっています。ケイテン取り、ブラフ、邪魔ポンとここまで考えるのかとも思えるほど勝つための徹底的な鳴きテクニックを網羅しています。かなりの上級者でも新たな知識や考え方を得られる本であると思います。

特にこんな人におすすめ・・・中級者以上、麻雀ガチ勢、鳴きを極めたい人

麻雀鳴きの教科書

麻雀鳴きの教科書

読み

読みについて解説した本です。そもそも読みという技術自体ある程度のレベルから用いる技術なので、比較的上級者向き。

魔神の読み

日本プロ麻雀協会所属の渋川難波プロの本です。全3章構成の本で、1章ではリーチや序盤の選択など麻雀の基礎的な部分を解説しています。2章がこの本の真髄である読みについての解説で、3章ではさらにネット麻雀での実戦譜を追う形で読みを解説しています。山読みや鳴き読みについては特にしっかりと書かれており、文章も読みやすく初心者におススメです。また、3章では渋川プロが実戦譜を逐一解説しています。読みが中心とはいえ、プロによる実戦の思考を追える本は珍しいので、自分も実際にこのように考えられるかと対比しながら読んでみるのも良いでしょう。読みの入門書としておススメできる本です。

特にこんな人におすすめ・・・読みを使えるようになりたい人、プロの実戦の思考の流れを知りたい人

デジタルに読む麻雀

全日本麻雀協会所属の平澤プロの著書です。全5章、全Lesson30から構成されていますが、全て読みに関する戦術についてです。それぞれの章の最後にはまとめと練習問題が掲載されており、それぞれのLessonが信頼度や類似の考え方別などかなり体系化されているので読みやすいです。何より平澤プロの文章が非常に読みやすいです。内容自体はかなり高度な技術ですが、理解しやすくまとまっています。本の中で平澤プロはこの本を読みの辞書にしたいと書かれていますが、その名に恥じない読み技術の網羅ぶりです。読みに関しては理解することと実践することの間に大きな隔たりがあります。この本で読みの理論をひたすら頭に入れて、何度も実践を積み上げればかなり読みの精度があがるはずです。

特にこんな人におすすめ・・・中級者、対局中に読みを入れる余裕のある人、読みを深く学びたい人

1秒で見抜くヤバい麻雀心理術

最高位戦日本プロ麻雀協会の鈴木優プロの本です。一応読みのカテゴリにしましたが、内容は相手の癖や挙動からヒントを得るというリアル麻雀特有の読みを扱った異色の本です。例えばノータイムで字牌を切った人はテンパイ、カンした牌をじっと見ている人は怖くないなど、リアル麻雀特有の打牌の速さや目線の動きからの読みについて解説しています。全3章で、1章がノーテン見抜き術、2章が手役見抜き術、3章が待ち見抜き術となっています。個人的な感想としてはなるほどと思えるものもありますし、それは少し決めつけすぎでは?と思える部分もあります。ただ、リアル麻雀を主戦場にしている方には新たな気付きがあると思います。また、この本に書いてある術で相手を読むこともできるかもしれませんが、それよりもこの本に書かれているような挙動・癖を自分がしないようにすることも重要です。割とマニアックな本で、上級者向けかと思います。

特にこんな人におすすめ・・・リアル麻雀が主戦場の人、麻雀自体の戦術ではなく相手を観察して読む技術をつけたい人

考え方

このカテゴリでは麻雀に勝つための考え方について解説することを主眼とした本を紹介します。後述するケーススタディとの違いは牌姿を多用するかどうかという点です。

ゆーみんの現代麻雀が最速で強くなる本

日本麻雀連盟の女流プロ雀士である魚谷侑未プロの本です。この本のコンセプトは「麻雀の基礎は覚えたけど、勝ち組にはなかなかなれない人に、どうしたら勝ち組になれるのかを理論的にまとめた麻雀戦術書」です(まえがきより引用)。心構え、手作り、リーチについて、守備、仕掛け、トップを取ろうの全6章から構成されています。心構えの章は約10ページと少ない量ですが、麻雀の上達という観点から見て大切なことが書いてあります。麻雀の戦術本の中では出てくる牌姿が少なく、文章が多めです。女性の著者ということもあり、優しく語りかけてくる文体で特に初心者にとってわかりやすいと感じる方が多いと思います。コンセプト通りの内容で、上級者であれば身についているであろう考え方やセオリーを丁寧に解説しています。初心者にまずオススメする麻雀プロの本、というイメージです。

特にこんな人におすすめ・・・勝ち組になかなかなれないと感じている人、女流プロが好きな人

天才雀士3人に麻雀のことを聞いたらバカ勝ちできた

オンライン麻雀天鳳の天鳳位であるASAPIN氏の著書。タイトルにある通り、ASAPIN氏の考えや戦術を書いているというよりも、フリー雀荘、ネット麻雀、競技麻雀プロの3種の麻雀界から1人ずつ天才雀士として呼び、色々な戦術について、ASAPIN氏と対談するという内容です。天才雀士3名はフリー麻雀枠は雀ゴロの青柳氏、ネット麻雀枠は天鳳位の就活生氏、競技麻雀プロ枠は鈴木たろうプロです。タンピンドラ1はどこから鳴くか、山読みはどのくらいできるか、メンタルをどう整えるか、というようなテーマ全10個についてを天才雀士×ASAPIN氏で対談していく様子を書き起こされています。各分野のトップクラスの方々の対話ということで、扱っている内容はかなりレベルが高いです。初中級者が勉強のために読むというよりも、強い人がどんなことを考えているかのインタビュー本という感じです。

特にこんな人におすすめ・・・上級者の思考が知りたい人、天鳳や競技麻雀など特殊ルールでの戦い方を知りたい人。

論理的思考で勝つ麻雀

論理的思考で勝つ麻雀

麻雀勝ち確システム

麻雀勝ち確システム

麻雀初心者が最速で勝ち組になる方法

麻雀初心者が最速で勝ち組になる方法

ケーススタディ

このカテゴリでは主に牌効率や押し引きなどの特定の技術について詳しく解説したものではなく、こんなときはどうすればいいか?という問題について著者が解説を進めていく本を紹介しています。一番麻雀の戦術書に多いケースです。

もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

上述「現代麻雀技術論」と同じネマタ氏と福地誠氏の本。立体牌図(点数状況や相手の捨て牌、場の状況まで描かれている牌図)による90問の何切る問題集です。現代麻雀技術論が辞書であればこちらは問題集。辞書で得た知識を元に実際に問題を解いてみて、知識の使い方に慣れるという流れで勉強できます。

問題は難易度1~5までランク付けされており、手作りについての問題の章、押し引き判断の問題の章、状況判断の問題の章、難問揃いの応用問題の章と分かれています。難易度の低い問題もありますが、全体的には難易度の高い問題が多いと思います。特に押し引き判断と状況判断は場況からの情報も加味して判断するものが多く難しいです。答えと解説にはネマタ氏と福地氏の解説が付いていますが、稀に両者の意見が食い違う問題もあります。

また、最後の章である応用問題の章では、ネマタ氏と福地氏の他に、元連盟プロの堀内正人氏、101競技連盟の成岡明彦氏、第四代目天鳳位のすずめクレイジー氏、第五代目天鳳位の太くないお氏の回答も載せられています。応用問題は難しい問題が多く、彼らの意見も多くの場合一致しないケースが多いです。

よって、特に初心者であれば応用問題以外の問題(難易度3以下)を徹底的に読み込むことをオススメします。余力があれば応用問題を考え、回答者の解説を読み学ぶと良いでしょう。スタディケース型の戦術書は多いですが、立体牌図での問題がここまで充実している本は多くありません。問題・解説も良問揃いというですので、ぜひ現代麻雀技術論とあわせて読んでみることをオススメします。

特にこんな人におすすめ・・・立体何切るで勉強したい人、現代麻雀技術論の知識を試したい人

麻雀勝ち組の選択

福地誠氏の著書。同氏の「ネット麻雀・ロジカル戦術入門」という本のリメイクです。全40の牌姿について鳴くかや何を切るかについて解説しています。福地氏の他の多くの本と同じく、初心者向けで、文章が分かりやすいです。いわゆる「魅せる麻雀」「華のある麻雀」ではなく「現実的な麻雀」「勝つ麻雀」をするにはどうすればいいかという戦術論の基本的な動きを解説しているイメージです。急所は鳴く、即リーする、シャンテン押しはしない、というような現代麻雀の入門になるでしょう。

特にこんな人におすすめ・・・初心者、麻雀の勉強をしてみようという人

麻雀テクニック

おなじみ福地誠氏の著作。「麻雀勝ち組の選択」「これだけで勝てる!麻雀の基本形80」と同様見た目のチープさと内容のギャップが激しいコンビニ本です。この本では問題の牌姿について、元雀ゴロでもある福地誠氏にインタビューする形で回答と解説をしています。「カンチャン即リー最強理論」や「平成のゴーニー打法」というように覚えやすいキャッチーなフレーズと共に10の戦術について解説しています。麻雀の戦術やセオリーはたくさんありますが、その中でも特に優先的に覚えるべきポイントを選りすぐって解説しています。これは特に初心者にとってまずは押さえておきたいポイントでもあり、初心者向けの本になっています。逆に上級者であれば既知の戦術ばかり語られているように感じるかもしれません。

戦術についてのチェックポイント、他の強者の意見、確率の詳しい計算、練習問題と戦術本にあると嬉しい要素も多く含まれ、分かりやすい作りになっています。現代麻雀の基本戦術が詰まった本になっているので、ぜひ初心者の方は読んでみてください。

特にこんな人におすすめ・・・初心者、麻雀の勉強をしてみようという人

純黒ピン東メンバーが教える フリー麻雀で食う超実践打法

雀ゴロk氏の本。氏はかつて雀荘メンバー(店員)であり、高レート麻雀でも勝ち越し、現在は雀荘の経営をしている方です。金を稼ぐ麻雀をモットーにしている鉄板強者です。そのような方が書いているということもあり、主にフリー雀荘向けのかなり実践的な戦術書です。全5章、全81ケースから構成されています。

章はそれぞれ、基本戦術、リーチ、鳴き、守備、高等戦術と構成され、章内でさまざまなケースについて牌姿を用いて解説しています。リーチ判断のような基本的な内容から、理牌や人読みなどフリー麻雀特有の高等テクニックまで紹介されており、特にフリー雀荘をメインフィールドにしている方は必読の一冊です。内容的にも初心者から中級者まで幅広くお勧めできる内容です。

特にこんな人におすすめ・・・フリー雀荘で勝ち越したい人

フリー麻雀で食う上級雀ゴロゼミ

通称雀ゴロk本2。前著と同様の形式の本ですが、より深く難しめの内容になっています。全5章79ケースで構成されています。章は勝ち金を増やすための打ち方、先手を取るための手順、押し引き、鳴き、オーラスと分かれており、それぞれ具体的なケースを牌姿を用いて解説しています。

構成自体は前著と大きく変わりませんが、押し引きは立体牌図を用い実践的な内容が多く書かれています。カッパギリーチやレート別の打ち方など、フリー雀荘で徹底的に稼ぐための内容であることも前著と変わりありません。

個人的に雀ゴロk本1と2はかなり人に勧めやすい本だと思っています。読みやすく、読んでためになることがなかったという人はほとんどいないと思います。前著とこの本をしっかり読み実践すれば、ほぼ間違いなくフリー雀荘での成績は上がると思います。

特にこんな人におすすめ・・・フリー雀荘で勝ち越したい人

フリー麻雀でもネット麻雀でも使える 現代麻雀最新セオリー

雀ゴロk本3。それまではフリー雀荘で金を稼ぐ!がテーマでしたが、今回は若干変わってネット麻雀にも対応したデータ本です。nisi氏という麻雀研究家がデータを監修しています。全4章(手組み、待ち取り、鳴き、対リーチ)44ケースで構成され、全て立体牌図で何を切るか(どうするか)という問い→次ページで回答と根拠データによる解説という流れになっています。

役牌バックの両面のチーテンを何順目からとるか?やフリテン追っかけリーチをするか?など、実戦でもそれなりに出会うけど実際よく分からない、という内容が多く、かゆいところに手が届くような内容になっています。また、これまでのセオリーを覆すようなデータも一部あり、最先端のデータ本と言えるでしょう。

ただデータ本の宿命ですが、○順目からはこうした方がよい、あがり枚数が○枚以下なら鳴いた方がよいなど、かなり細かいデータや解説なので、中級者以上向きの本だと思います。雀ゴロk本1や2を読んでも物足りないという方にはお勧めできますが、初心者にはあまりおススメできません。

特にこんな人におすすめ・・・より細かいデータを知りたい人。微差でも妥協できない人。ガチ勢。

ブラコン女子大生の最短で強くなる麻雀

天鳳有名プレイヤー西園寺靖子氏の著作です。タイトルの奇抜さと実用性のギャップが激しい良書。全6章からなり全て西園寺靖子(妹)と西園寺正義(兄)の会話形式となっています。1章から3章は主に牌効率、4章は鳴き、5章はネット麻雀(天鳳)について、6章では実戦での考え方という構成です。

見開き1ページで、テーマの牌姿についてどう打つべきかを兄が妹に教え最後に要点を西園寺システムとして一言にまとめるという流れが基本です。テーマが続き物になっていることが多く、基本→例外のパターンを体系的に理解しやすいです。また単純に兄の教え方も非常に分かりやすく説得力があり、重要箇所には下線も引いてあるので理解しやすいです。また分かりやすいだけではなく、考え方が非常にストイックで上達するために見習うべき考えが多くあります。特に「牌譜検討の意義」「本気で段位を上げたいのなら」は必読です。

特にこんな人におすすめ・・・判断のシステム化をしたい人、天鳳プレイヤー

現代麻雀手作りと押し引きの鉄戦術

お馴染み麻雀ライター福地誠氏の著作です。タイトル通り手作りと押し引きについて、場面を切り取った全87問について何を切るかの解説しています。元々近代麻雀のコラムだったものをまとめた本です。第0章強くなるために、第1章手組み・牌効率(22問)、第2章手作り総合(26問)、第3章押し引き(29問)の全4章で構成されています。鉄戦術(鉄:鉄板、確実なものの意)とタイトルにありますが、比較的難しい問題が多いと思います。解答でどっちを選んでも良いとする問題や福地氏も解答ページで明確にこっちが正解とは言いにくいというほど判断が難しい問題も存在します。

先述した「麻雀勝ち組の選択」や「これだけで勝てる!基本形80」よりは難しい本です。これらの本や「押し引きの教科書」と合わせて読むと理解が深まるでしょう。帯にあるように頻出する状況や牌姿についての問題が多く、それでいて難易度もそこそこあるため、初心者から中級者にとっての上達に役立つ本でしょう。

ただ、この本の一番の魅力は第0章の強くなるためにという部分です。ページ数自体は約20ページと少ないですが、著者福地氏の過去の麻雀ライフと共に麻雀上達のエッセンスが詰め込まれています。87問の問題も良質ですが、この第0章が麻雀上達という観点から考えると一番重要な部分なのではないかとも思います。

特にこんな人におすすめ・・・現代麻雀の鉄戦術を知りたい人、麻雀上達の方法を知りたい人

スーパーデジタル麻雀

麻将連合所属小林剛プロの著作です。小林プロといえばロボットのようなデジタル麻雀で有名ですが、そんな彼の考え方をまとめた一冊。牌姿や立体牌図を用い、手順、鳴き、リーチ、読みと幅広く解説しています。解説はデジタル思考に基づいたのものであり、文章のいたるところから小林プロらしさを感じます。

デジタルというと読みや迷彩といった技術を軽視するイメージもありますが、この本では読みについても多く紙面を割かれていますし、迷彩についても触れています。また、様々な戦術だけではなく、「麻雀ってこんなゲーム」の章は確率論の真髄やメンタル面に対する小林プロの考え方など、非常に興味深い章になっています。内容的には初心者を卒業し、デジタル麻雀の意味合いも分かる中級者向けかと思われます。

こんな人におすすめ・・・デジタル麻雀を学びたい人、強豪プロの思考を知りたい人

ゼロ秒思考の麻雀

過去に記事として載せています。→「ゼロ秒思考の麻雀」レビューと思考リソースについて

むこうぶち傀に学ぶ!麻雀強者の0秒思考

「むこうぶち傀に学ぶ!麻雀強者の0秒思考」に学ぶ強者の引き出し

実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義

「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」レビュー

鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム

鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム

立体・場況

麻雀は局・巡目・点数状況・河など様々な状況によって判断が変わるゲームです。これらの場況を考慮し、立体的に考えて判断するというのは非常に難しいです。臨機応変な対応はそもそも本での解説・理解や他状況への転用が難しいですが、それを含めて場況について特化的に解説されている本です。

場況を見抜く!超実戦立体何切る

「場況を見抜く!超実戦立体何切る」と場況の考え方

統計・データ本

主にコンピュータのシミュレーションなどの統計データを用い戦術を解説した本です。先述の雀ゴロk本3はここにも入る気がします。

統計で勝つ麻雀

麻雀研究家みーにん氏と福地氏の共著。「科学する麻雀」がそうであったように、麻雀に統計の技術を持ち込み戦術の解析や検討を行なっている本です。

対局開始時の東家、南家、西家、北家ではどの席が一番成績が良いのかといった素朴な疑問から、愚形待ちのリーチのアガリ率がリーチ前に何枚見えているとどの位変わるかというような実用性のある戦術まで麻雀の様々な側面を統計データを用い解説しています。このようないわゆるデータ本は細かい検討やデータを扱うことから、麻雀の戦術本ではなく蘊蓄本だと揶揄されることもあります。

ただ、本書でも語られていますが、プレイヤーにとって分かりやすく実益があるというミクロな視点も大切ですが、麻雀というゲーム自体を俯瞰しどのようなデータの偏りが見られるか、そこからどんなことが一般化して言えるかというようなマクロな視点での麻雀の理解も大切です。大枠を理解していないと小手先の技術だけでは応用が効かなくなります。より深く麻雀を理解したいという方にオススメの本となっています。

特にこんな人におすすめ・・・麻雀を統計的に考えてみたい人、細かい数値的な知識が欲しい人

「統計学」のマージャン戦術

過去に記事として載せています。→デジタル派必読書!『「統計学」のマージャン戦術』を初心者こそ読むべき理由3つ

「麻雀AI戦術 人工知能「爆打」に聞く必勝法」

これも過去に記事として載せています。→戦術本『麻雀AI戦術 人工知能「爆打」に聞く必勝法』レビューと読み方

メンタル

麻雀のように運の要素が絡むゲームはメンタルが重要です。負け続けているときに心折れないために、勝ち続けているときに過信しないために、メンタル管理についても学ぶ必要があります。メンタル管理についてをメインにした本はかなり少なめですが、非常に重要です。

賭けの考え方

ポーカー本「賭けの考え方」と麻雀のメンタル

麻雀が強くなるための心と技術

麻雀が強くなるための心と技術

以上34冊のまとめでした。参考になれば幸いです。

また「やっぱりどれを買えばいいか分からない」「自分はこういうレベルだと思うが何から勉強すればいいか分からない」という方がいればツイッター(@mahjongbegin)の方にDM等頂ければ個別で対応できると思うのでお気軽にどうぞ。

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